農作業中の農機による事故を防ぐために
農作業中の事故でどれだけの方が亡くなっているかご存じでしょうか?
農林水産省のデータを見ると,ここ10年間は毎年およそ300人前後の方が亡くなられています。
最新のデータでは300人を下回りましたが,農作業中の事故で命を落とされるのが後を絶たない状況が続いています。
さらに気になるのがこちらのデータ。
こちらのグラフは産業別10万人あたり死亡事故の発生件数を表しています。
最新のデータでは建設業が10万人あたり6.1人に対し,農業は15.6人で約2.5倍。
さらに全産業が10万人あたり1.4人と比較すると,約11倍もの人が農作業中に命を落とされていることになります。
そこでこの記事では、
・事故発生の要因
・事故防止の対策
をお伝えします。
「運転は慣れてるから」「今までそんなことは起こったこと無いから」という方も多いかと思います。
しかし,事故が起こってからではもう遅いです。
この記事を読んで,改めて確認していただければと思います。
事故発生の要因
こちらのデータ(※)は,公道での農機による交通事故の種類別死亡・重傷事故件数です。
このデータから,公道での農機の交通事故は主な理由は
・単独事故
・追突事故
の2種類あるということがわかります。
参考として,死亡・重傷事故それぞれについてのデータ(※)も張っておきます。
それでは,単独事故・追突事故にはそれぞれどのようなものがあるのか確認していきます。
単独事故
用水路への転落
運転操作ミスや道路環境が悪いことにより,田畑や用水路へ転落。
傾斜地での横転等
農機は通常の車に比べ重心位置が高いため,傾斜地等でバランスを崩して横転。
傾斜地等で自然に動き始めた農機にひかれる事故。
追突事故
夜間等における追突
夜間は後続車から農機が発見されにくく,追突事故が起こる。
昼間のトンネル内でも追突事故の事例がある。
それでは次にどのような対策がとれるのかを確認していきます。
事故防止の対策
今回は事故対策のポイントとして3つお伝えします。
確実な運転操作とブレーキ連結の確認
農業による死亡事故は,ハンドルやブレーキ操作ミスによる単独事故が多いですので、道路走行状況に応じた確実な運転を行いましょう。
また,道路走行時は必ず左右のブレーキを連結しましょう。
ブレーキ連結をしていないと,ブレーキを踏んだときに急旋回して転落,横転する事故につながる恐れがあります。
安全キャブ・フレームの装着とシートベルトの着用
救命効果の高い安全キャブやフレームが付いているトラクターを利用しましょう。(安全フレームは倒さずに使いましょう)
トラクター等の農機運転中は必ずシートベルトを着用しましょう。
転落や横転,追突された場合にも身体が投げ出されるのを防ぎます。
また,ヘルメットの着用もしましょう。
ランプ類や低速車マーク等の取り付け
一般車両との接触や追突を防ぐためには周囲に気づいてもらうことが大切です。
「低速車マーク」や,「反射板」を設置しましょう。
直装式作業機を装着してトラクター本体のランプ類が見えなくなる場合や,ランプ類のないけん引式作業機をけん引する場合はランプ類を増設してください。
悲しい思いをしないために
全て「そんなの当たり前」と思われていることかもしれません。
しかし,当たり前の積み重ねが事故の一番の予防対策です。
今一度,事故防止の予防対策をお願いいたします。
(※)データは以下のチラシを参照しました。