農作業機付きトラクタの公道走行にあたってのポイントを解説
地方運輸局より、農作業機をトラクターに装着したままでの公道走行について、基準緩和認定の公示があったのはご存じかと思います。
作業機の着脱の手間をかけずに、トラクターでの公道走行が可能になったわけですが、少し間違うと法令違反になってしまうこともあるので注意が必要。
そこで、どういった点をチェックすべきなのか、改めて解説していきます。
農作業機付きトラクタの公道走行にあたってのチェックポイントを5つご紹介
農作業機をトラクターに装着したままで公道走行する際に確認しておきたいのは以下の5点です。
・ナンバープレートの確認
・免許の確認
・灯火器類の確認
・車両幅の確認
・安定性の確認
すべてのチェックポイントがクリアできなければ公道走行はできません。
1つずつ見ていきましょう。
チェックポイント①:ナンバープレートの確認
公道を走行する自動車には、ナンバープレートの取り付けが義務づけられています。
トラクタも例外ではなく、公道を走行する際にはナンバープレートの表示が必要となります。
・小型特殊車両(最高速度が35km/h未満の車両)
→市町村交付のナンバープレート
・大型特殊車両(最高速度が35km/h以上の車両)
→陸運支局(自動車検査登録事務所)交付のナンバープレート
徳島運輸支局(応神町庁舎)は地図はこちらです。
チェックポイント②:免許の確認
トラクタ単体、または農作業機を装着した状態で、
・長さ4.7m以下
・幅1.7m以下
・高さ2.0m以下(安全キャブや安全フレームの高さ2.8m以下)
・最高速度15km/h以下
の条件を満たせば、小型特殊・普通免許で運転可能です。
農作業機を装着したことによりこの条件を超える場合には、大型特殊免許が必要になります。
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
チェックポイント③:灯火器類の確認
農作業機を装着した状態でも、ほかの交通から灯火器類が確認できることが必要です。
トラクタの前方や後方から灯火器類の取り付け状態を確認しましょう。
前方から確認する灯火器類
画像引用:日本農業機械工業会 ガイドブック 作業機付きトラクタの公道走行について(PDF)
・前照灯(ヘッドランプ)
・車幅灯(ポジションランプ)
・方向指示器(ウィンカー)
後方から確認する灯火器類
画像引用:日本農業機械工業会 ガイドブック 作業機付きトラクタの公道走行について(PDF)
・尾灯(テールランプ)
・制動灯(ブレーキランプ)
・後退灯(バックランプ)
・方向指示器(ウィンカー)
・後部反射器(リフレクター)
・番号灯(ライセンスランプ)※大型特殊のみ
※長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下、最高速度15km/h以下のトラクタの場合、車幅灯(ポジションランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ブレーキランプ)、後退灯(バックランプ)については取付義務がないので、設置の必要はありません。
灯火器類が見えない場合に必要な対応
確認してみて、必要な灯火器類が見えない場合には、見える位置に別途設置する必要があります。
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
灯火器類が見える場合でも必要な対応
灯火器類が確認できる場合でも、取付位置が最外側から40cm以内にない場合、以下の対応をする必要があります。
・トラクタ前面に白色の反射機を設置
・トラクタ後面に赤色の反射機を設置
・保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識を後面の見やすい位置に設置
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
チェックポイント④:車両幅の確認
トラクタ単体で、
・長さ4.7m以下
・幅1.7m以下
・高さ2.0m以下
・最高速度15km/h以下
の場合、農作業機を装着した状態で、車両の幅が1.7m、または2.5mを超えていないか確認しましょう。
幅が1.7mを超えている場合
機体左側に後写鏡(サイドミラー)を設置する必要があります。
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
幅が2.5mを超えている場合
①道路管理者から、特殊車両通行許可を得る必要があります。
道路管理者とは?
国道:地方整備局
県道:各都道府県
市町村道:各市町村
②車両の最外側をわかるようにするため、
・外側表示板
・反射器
・灯火器
を設置する必要があります。
③保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識「全幅〇.〇〇メートル」を後面の見やすい位置に表示する必要があります。
④運転者席にも幅を表示する必要があります。
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
チェックポイント⑤:安定性の確認
農作業機を装着することでトラクタの安定性(傾斜角度)が変わるため、安定性の保安基準(30度又は35度)を満たせなくなる場合があります。
安定性の確認方法
15km以下の走行制限のないトラクタと作業機の組み合わせについては、日本農業機械工業会のページで公表されていますので、確認してみてください。
安定性が確認されていない場合の対応
・運行速度15km/h以下での走行
・保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識「運行速度15km毎時以下」を後面の見やすい位置に表示
・運転者席にも制限速度を表示
を行う必要があります。
画像引用:農林水産省 ガイドブック 作業機付きトラクターの公道走行について(PDF)
おまけ:任意保険への加入
小型特殊車両については自賠責保険の加入することができません。
トラクタで万が一事故を起こしてしまった場合に備え、任意保険に加入しておきましょう。
まとめ
農作業を付けた状態でのトラクタの公道走行にあたってのポイントは、以下の5つです。
・ナンバープレートの確認
・免許の確認
・灯火器類の確認
・車両幅の確認
・安定性の確認
公道走行する際は、これらのすべてのチェックポイントをクリアできていることをを必ず確認するようにお願いいたします。