肥料価格高騰に対する技術対策をご紹介


肥料価格の高騰を受け、徳島県立農林水産総合技術支援センター高度技術支援課は、肥料コスト低減に向けた技術対策を策定いたしました。

 

肥料コスト低減に向けた技術対策について|徳島県ホームページ

 

そこでこの記事では農作業でお忙しい皆さんのために、その内容を見やすくまとめました。

 

目次のリンクをクリックすれば必要な場所だけを見られるようにもなっています。休憩中や雨の日にサクッとご確認ください。

 

 

共通の技術対策

堆肥や緑肥等を上手に利用することで土づくりができるだけでなく、化学肥料の使用量を減らしコストを削減することができます。
「主要農作物施肥基準」および「徳島県主要品目減肥マニュアル」を参考に堆肥等を有効に活用してコスト低減を図りましょう。

 

「主要農作物施肥基準」および「徳島県主要品目減肥マニュアル」はこちら

主要農作物施肥基準について|徳島県ホームページ

土壌診断による効率的な施肥

基肥を施用する前に土壌分析を実施して土壌中の養分状態を把握し、診断結果に基づいて肥料の施用量を決めることで過剰な施肥を抑制することができます。

 

なお、吉野川農業支援センターでは毎月2回土壌分析を実施しています。

2022年の日程はこちらから

【2022年度】吉野川農業支援センター 土壌分析の御案内 - 吉野川農業支援センター

局所施肥技術の利用

局所施肥とは、作物の根が多く分布して肥料成分が吸収されやすい位置にあらかじめ肥料を施用し、効率よく肥料を吸収させる技術であり、全面全層施肥に比べて施肥量を節減できます。 

引用:肥料コスト低減事例集(農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/210528-1.pdf

堆肥等有機質資材の利用

家畜ふん堆肥などの地域の有機質資材を積極的に利用することで、施肥量を節減できます。


徳島県内の堆肥供給者は次の一覧を参考にしてください。

県内で生産されているたい肥の紹介|徳島県ホームページ

緑肥作物(地力増進作物)の利用

レンゲ等の緑肥作物を栽培し、土壌中にすき込むことにより窒素肥料の施用量を節減することができます。

農研機構発行の「緑肥利用マニュアル」を参考にしてください。

緑肥利用マニュアル -土づくりと減肥を目指して- | 農研機構

作物の対策技術

堆肥等有機質資材の利用

家畜ふん堆肥のうち、窒素が持続的かつ安定的に発現する牛ふん堆肥を基肥を施用する2週間から1ヶ月前に、1t/10a施用すると、基肥、穂肥での化成肥料をそれぞれ窒素成分1㎏/10a削減できます。

局所施肥技術の利用

移植同時の側条施肥(局所施肥)により施肥量を1~2割削減できます。また、田面水への肥料分の溶出が少なく、流亡損失が抑制されます。

 生育状況に応じた穂肥の施用

葉色・草丈が基準を上回る場合には、程度に応じて穂肥が減肥できます。

 

 野菜の対策技術

【露地野菜】

土壌診断による効率的な施肥

定期的に土壌診断を実施し、診断に基づいた適正量の施肥を行い、余分な施肥を抑えましょう。

堆肥等有機質資材や緑肥作物(地力増進作物)の利用

堆肥や緑肥等を積極的に利用し、化学肥料の使用量を減らしましょう。

局所施肥技術の利用

畝立て作業時などに肥料を畝の中央部にまとめて施用する局所施肥を行うことにより全面施肥より肥料成分の利用率が高くなり、施肥量を削減できます。

【施設野菜】

土壌診断による効率的な施肥

定期的に土壌診断を実施し、診断に基づいた適正量の施肥を行い、余分な施肥を抑えましょう。

単肥を活用した施肥

合肥料の代わりに、土壌診断結果に基づき、単肥肥料を組み合わせ、余分な成分は極力投入しない施肥としましょう。

 

果樹の対策技術

土壌診断による効率的な施肥

基肥を施用する前に土壌診断を実施し、診断結果に基づいて適正な肥料の施用量を決めましょう。

堆肥等有機質資材の利用

基肥に使う化学肥料に代えて有機質資材(家畜ふん堆肥)に置き換える場合は、
年間窒素成分量の30~50%相当分とし、施用は果実収穫後の秋冬期に行いましょう。


また、土の表層が固く締まっていると雨等で肥料成分が流亡しやすいので、軽く
耕うんし流亡を抑えましょう。

花きの対策技術

土壌診断による効率的な施肥

作付け前に土壌診断を実施し、診断結果に基づいた適正量で施肥設計を行いましょう。

単肥の組み合わせによる施肥

養液土耕栽培では短期的な対応として、専用の複合肥料の代替に単肥肥料を組み合わせて施用することで肥料の使用量が削減できます。

緩効性被覆肥料の利用

生育ステージに合わせた肥効の緩効性被覆肥料を利用することで使用量が削減
できます。

ただし、温度とかん水量によって溶出の期間や量が変わるので、施用する時期に合わせて適したタイプを選びましょう。