農業における台風対策方法
年々大型化している台風。農家にとってその影響は深刻なものです。令和元年の台風19号では、農業は全国的に大きな損害を受けました。
作物が傷み出荷ができなくなったり,ハウスなどの施設が破損するなど大きな損害となってしまうことがあります。
そこでこの記事では,今後もこのような被害が起きる可能性がある中で,私たちはどんな対策・準備をすることができるのかをまとめました。
地震などの突発的な災害とは違い,台風は事前に準備の時間がある災害です。
できることは準備をし,被害が最小限になるように備えておきましょう。
台風通過前、通過後の対応
台風10号の接近に伴う農作物等の管理対策|徳島県ホームページ
こちらのページには台風通過前,通過後の対応が書かれています。
栽培しているものによって少しずつ対応は変わりますが共通していることは以下の3つです。
・大雨中は非常に危険なので,用排水路には近づかない
・ほ場の見回り等については気象情報を確認し,台風通過後の増水にも注意する
・台風通過前後に薬剤を使用する際は周辺への飛散低減対策をし.適時適切な散布を行う
すべてを行うのは大変かもしれませんが,台風が来るまでにできることは行うようにしましょう。
ビニールハウスの台風対策
ビニールハウスの台風対策マニュアルについて|徳島県ホームページ
台風でビニールハウスが壊れてしまうと,復旧に時間もお金もかかるので非常に大変です。
台風等の強風に十分な耐候性がないビニールハウスを強くするための補強対策や保守点検の方法が載っていますので,ぜひ参考にしてください。
台風など自然災害に有効な保険・共済
台風によって被害が出た場合に被害額を補填してくれる保険・共済があります。
収入保険は,台風など自然災害の他.作物の市場価格の下落.病気やケガで収穫ができないなど幅広く収入減少に対して保証をしてくれる保険です。
園芸施設共済は,ハウスやその被覆材など施設に対する保険です。オプションで附帯施設,施設内農作物,撤去費用,復旧費用を補償に入れることも可能です。
細かい補償内容や金額については,それぞれのサイトでご確認ください。
令和2年度 農業簿記セミナー開催のお知らせ
経営状況を把握するためには、日頃から簿記記帳することが重要です。
しかし簿記記帳を自分でしていると、「ん?これってどう記帳すればいいの?」ということがでてきます。
そこで、吉野川農業支援センターでは、毎年、”ソリマチ農業簿記”というソフトを使った農業簿記セミナーを開催しています。
農業簿記セミナーでは、わからない部分があれば支援センター職員にすぐ相談できますので、一人でパソコンの前で悩む時間が無くなります。
「記帳してみたもののあっているかどうか不安だから見てほしい」
「どう記帳していいかわからない」
等、簿記に関することでお悩みでしたら、農業簿記セミナーにご参加ください。
日程
9/11(金)
10/9(金)
11/13(金)
12/11(金)
1/8(金)
1/22(金)
2/12(金)
2/26(金)
3/5(金)
3/12(金)
各13時30分から16時30分まで
※出席可能な日のみの出席も可
費用
無料
場所
吉野川合同庁舎 401会議室
必要なもの
ご自身のノートパソコン(お持ちでない場合は貸し出しも可能)、ソリマチ農業簿記
※当セミナーは新型コロナウィルス対策をしたうえで開催いたします。来場される際はマスクの着用をお願いいたします。
【病害虫】トビイロウンカの発生予報について
徳島県において,8月前半からトビイロウンカの発生圃場率が高くなっています。平年と比べて約3~4倍の発生圃場率です。(平年15.4%⇒56.8%)
高松地方気象台が8月13日に発表した1ヶ月予報では,気温は平年より高く,降水
量は平年並か少なく,日照時間は平年より多いと予想されており,トビイロウンカ
の増殖に好適な気象条件が続くと考えられています。
このようなことから今後徳島県全域において,8月中旬よりトビイロウンカがより多く発生すると予想されており,9月中旬以降に収穫する水稲の圃場では坪枯れの被害が懸念されます。
そこでこの記事では,以下の3点をお伝えします。
・トビイロウンカの現在の発生状況
・トビイロウンカそれぞれに登録のある主な農薬
・トビイロウンカの防除方法
農家さんにおきましては,できる限りの予防,虫を見つけた際には早めの対処をお願いいたします。
発生状況
北中部 : 板野郡(藍住町、板野町、上板町)、阿波市(吉野町、土成町、市場町)、吉野川市(鴨島町、山川町)、名西郡石井町
東部沿岸 : 徳島市(川内町、不動町)、小松島市(田野町、櫛渕町)、阿南市(長生町、山口町)
西 部 : 東みよし町、三好市、美馬市
南 部 : 海陽町
登録のある主な農薬
防除方法
・圃場における発生状況を早期に確認し,1株当たりの成幼虫数が1頭以上の場合は
薬剤防除を行いましょう。
・トビイロウンカは株元に生息しているので,薬剤が株元に十分到達するよう丁寧に散布しましょう。
・薬剤防除時期が8月中旬以降になった場合、安全使用基準(収穫前日数)に注意して使用薬剤を選択しましょう。
【10/31まで】エイジフレンドリー補助金の御案内
近年高齢者の就労が拡大していることに伴い,高齢者の労働災害が増えています。
高齢者の方が安心して安全に働けるような職場環境作りをすることが重要と言われています。
そんな中,厚生労働省から,60歳以上の高齢労働者のための職場環境改善に取り組む事業者を支援する「エイジフレンドリー補助金」の案内が届きました。
要件をまとめましたので,高齢労働者のための職場環境改善に取り組みたい事業者の方は御一読いただければと思います。
対象者
次の全てに該当する事業者
①60歳以上の高年齢労働者を常時1人以上雇用している(3か月以内に雇用する計画がある場合でも可)
②労働保険及び社会保険に加入している
③常時使用する労働者300人以下または資本金又は出資の総額が3億円以下
補助対象
高年齢労働者のための職場環境改善に要した経費
補助金額:かかった経費の1/2(上限100万円)
具体的な経費例
①高年齢労働者に優しい機械設備の導入等に係る経費
例)アシストスーツの導入やファン付き作業服の支給
熱中症予防のための休憩場所の整備
②健康確保のための取組に係る経費
例)身体機能の維持・向上のための保健師等による指導
③高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生教育に係る経費
例)加齢に伴う労働災害リスクの増大に関する研修会
申請の流れ
書類記入,申請(農業者)
→審査
→交付決定通知の発行
→対策の実施,費用の支払(農業者)
→実績報告,精算払請求(農業者)
→補助金の交付
申請期間
6⽉12⽇から10⽉31⽇まで
書類はこちらから
問合せ先
エイジフレンドリー補助金事務センター
(申請,支払関係でそれぞれ連絡先が違うので注意)
申請関係:
電話:03-6381-7507
FAX:03-6381-7508
Mail:af-hojyojimucenter@jashcon.or.jp
支払関係:
電話:03-6809-4085
FAX:03-6809-4086
平日(9:30〜12:00, 13:00〜16:30)
(土日祝祭日, 8月11日〜14日(夏季休暇),12月28日〜1月4日(年末年始)を除く)
【病害虫】ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウの発生予報について
徳島県において,6月中旬からハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウのフェロモントラップ誘殺数が増加しています。それぞれ平年と比べて約5倍の誘殺数が確認されています。
今後徳島県全域において,7月上旬より幼虫発生のピークが予想されています。
野菜類(特にネギ,えだまめ,夏秋ナス,トマト,ミニトマト,オクラなど)及び花き類(きく,バラなど)で被害が発生するおそれがあります。
そこでこの記事では,以下の3点をお伝えします。
・ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウの現在の発生状況
・ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウそれぞれに登録のある主な農薬
・ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウ共通の防除方法
農家さんのおきましては,できる限りの予防,虫を見つけた際には早めの対処をお願いいたします。
ハスモンヨトウ
発生状況
登録のある農薬
シロイチモジヨトウ
発生状況
登録のある農薬
ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウ共通の防除方法
・育苗床では,寒冷紗や防虫ネットをトンネル型で被覆し,産卵を防止しましょう。
・施設栽培では開口部に防虫ネット等を張り,成虫の侵入を防ぎましょう。
・老齢幼虫になると薬剤が効きにくくなるので,若齢幼虫期に防除しましょう。
・卵塊や分散前の若齢幼虫を発見したら,速やかに捕殺しましょう。施設の鉄パイプなどにも卵塊を産みつけるので,注意して観察しましょう。
・同一系統の薬剤の連用は薬剤抵抗性獲得の恐れがあるので避けましょう。
・整枝・せん定した残さに卵や幼虫が付着している可能性があるので,ほ場から持ち出して処分しましょう。
・卵塊が付着していたり,若齢幼虫期が集団で食害している葉は,ただちに摘葉し,ほ場から持ち出して処分しましょう。
※徳島県の病害虫情報は農林水産総合技術支援センターから発表されています。定期的な確認をおすすめします。
※農薬の検索等には徳島県植物防疫指針が便利です。
令和2年度 土壌分析の日程
吉野川農業支援センターでは,原則毎月第2・4水曜日に土壌分析をしています。
当センターの土壌分析でわかることは以下の項目です。
・pH,EC
・陽イオン(石灰・苦土・カリ)
・リン酸
土壌分析の受付は随時受け付けております。
直接農業支援センターに土を持参していただいても大丈夫です。持っていきたいけど時間が…という方は一度お電話で御相談ください(0883-26-3971)。
土壌診断結果から過剰な養分は減らし,足りない養分は必要量を施用して適正施肥によって収量・品質の安定化と施肥コストの低減化を図りましょう。
※吉野川農業支援センターからお願い
土壌分析の土は乾燥させて持ってきてください。
乾燥していなくても持ってきていただくことは可能ですが,分析予定日までに乾いていない場合は次回の分析に持ち越します。御了承ください。
7月
7/8
7/22
8月
8/5(第一水曜日)
8/26
9月
9/9
9/23
10月
10/7(第一水曜日)
10/21(第三水曜日)
11月
11/11
11/25
12月
12/9
12/23
1月
1/13
1/27
2月
2/10
2/24
3月
3/10
3/24
【全農家対象】県内でのツマジロクサヨトウの発生について
令和2年6月17日,石井町の飼料用トウモロコシにおいて,ツマジロクサヨトウ幼虫の発生と食害が確認されました。昨年9月には,フェロモントラップによる調査で成虫の発生が確認されていますが,農作物への加害は今回が初確認とのことです。
長距離移動できることもわかっているため,今後徳島県全体に被害が増加する可能性もあります。
そこでこの記事では,
・ツマジロクサヨトウとは?
・私たち農家はどう予防すればいいの?
を現在農林水産省から出ている情報などをもとに,ポイントを押さえて書いていきます。
事前知識として,ぜひ頭に入れておいてください。
※ツマジロクサヨトウが発生してしまった,それっぽい虫がいるという場合には吉野川農業支援センター,または徳島県病害虫防除所に速やかに御連絡ください。
ツマジロクサヨトウとは?
ツマジロクサヨトウは、南北アメリカ原産の農業害虫で、とうもろこし、ソルガム、さとうきび、野菜類等、80種類以上の作物に被害を与えること、1世代で500km、1晩で最大100km移動するなど、長距離飛翔することが知られている。
本種は暖地に適応した種(南北アメリカ大陸の熱帯~亜熱帯原産)であり、熱帯では年4~6世代発生する。南北アメリカでは毎年夏季に成虫が移動・分散するが、暖地を除く地域では越冬することはできない。
幼虫が植物の葉、茎、花並びに果実を加害する。若齢幼虫は葉を裏側から集団で加害し、成長すると加害しながら分散する。
抑えておいてほしいポイントは以下の4点です。
・80種類以上の作物に被害を与えること
・1世代で500km,1晩で最大100km移動するなど,成虫が長距離飛翔すること
・暖地に適応した種であること
・若齢幼虫は葉を裏側から集団で加害し,成長すると加害しながら分散すること
これらのことから,これから徳島県全体に被害が増加する可能性があるのではないかと指摘されています。
ツマジロクサヨトウの見た目、特徴
ツマジロクサヨトウの幼虫、成虫の見た目、特徴は以下のようなものです。
ツマジロクサヨトウが出たらどんな被害になる?
本種は広食性の害虫であり、経済的に重要な栽培種であるとうもろこし、いね、ソルガム、さとうきび、わた及びその他野菜類に大きな被害をもたらす( CABI, 2019)。特にイネ科を好み、野生及び栽培されているイネ科植物の食害が報告されている( CABI, 2019)。
アメリカの調査では,スイートコーン1株あたりにツマジロクサヨトウの発生密度が0.2~0.8頭であっても、収量が5~20%低下するという報告があります。
また,ガーナ及びザンビアの生産者からの報告では、アフリカでのツマジロクサヨトウによるとうもろこしの減収量が4割にものぼったということです。
もし徳島県で発生した場合、同じように大きな被害になるのではないかと考えられます。
ツマジロクサヨトウによる被害写真
次に,今(2020/6月現在)農林水産省から発表されている4種類の作物の被害写真を張っておきます。
「もしかしたらツマジロクサヨトウ?」というときの参考にしてください。
飼料用トウモロコシ
スイートコーン
サトウキビ
ツマジロクサヨトウの防除方法は?
「危険な害虫であることはわかった。でも私たち農家はどうすればいいの?」と思われているのではないでしょうか。
ツマジロクサヨトウの防除方法は、
・生産ほ場の定期的な見回りによる早期発見
・発生が確認された際の早期防除
の2点です。
「事前にできる予防があるならやるんだけどなぁ」という農家さんもいらっしゃるかもしれませんが,現在,事前にできる予防方法はなく,加害があった後の防除方法となります。
生産ほ場の定期的な見回りによる早期発見
生育初期に幼虫の食害を受けた場合,被害が大きくなると考えられるため,ほ場を定期的に見回り早期発見・早期防除に努める。
参照:ツマジロクサヨトウの発生にご注意ください!|徳島県ホームページ
発生が確認された際の早期防除
本虫による加害が確認された場合,植物防疫法第29条第1項に基づく措置を行うこととし,加害が確認された作物ごとに選定した薬剤による散布を行う。
参照:ツマジロクサヨトウの発生にご注意ください!|徳島県ホームページ
散布に当たっては、新葉の葉鞘基部に潜り込んでいる幼虫に届くよう、株の上部までしっかりと散布する。また、老齢幼虫や作物の内部に潜り込んでいる幼虫には農薬の効果が低くなるので、本種の活動が活発になる早朝に、若齢幼虫や葉の表面にいる幼虫に対して、農薬を散布することが望ましい。
粒剤は、防除効果が現れるまで時間を要することが多いため、粒剤を施用したほ場において発生が続く場合には、速効性のある農薬による 追加散布を行う。
※ツマジロクサヨトウに使える農薬一覧
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/attach/pdf/tumajiro-115.pdf
使える農薬一覧に記載されている希釈倍率,使用方法,使用時期,散布量,回数を守ることで,出荷停止等,流通に支障が出ることはありません。
「それっぽい虫がいる」
「ツマジロクサヨトウが発生してしまった」
「加害されてしまったから農薬をまきたいんだけどどれがいいかわからない」
という場合には,吉野川農業支援センター(0883-26-3971),または徳島県病害虫防除所(088-674-1954)に速やかに御連絡ください。